めざせ指人形マスター
キャラクターソフビ指人形をこよなく愛する一人の男が 「指人形マスター」と呼ばれることになる(といいな) までの顛末を記録した一代記である。
アレックス・バーザ「ウソの歴史博物館」文春文庫
ウソの歴史博物館訳者のあとがきによると、原題にあるHoaxというのは「嘘、ペテン、でっちあげ、ごまかし、まやかし、いたずら、インチキ、デマなど、とりどりの意味合いや色合いを持つカラフルな言葉」らしい。
この本には1700年代以前から現代まで世間に流布し、広く信じられたHoaxが図版とともに紹介されている。また紹介しきれない内容についてはホームページをみろ、とアドレスまで紹介されている。
勘違いしないでもらいたいのは「ああ、楽しくだまされた」という内容ばかりでは決してなく、詐欺まがい(完全に詐欺と呼べるものもある)だったり、デマに伴ってパニックが発生してしまったものも含まれている(面白かったのは、オーソンウェルズによる宇宙戦争のラジオドラマを大勢の人が信じてパニックになったという有名な話が、実はあまりパニックは発生しておらず、パニックが発生したということ自体がデマに近いものだったと考えられている、らしいということだった)。
年代が下るにつれてウソの内容も徐々に高度化?してくる。単なる風評が、新聞やラジオ、テレビ、インターネットというメディアによってさまざまに検証されるからである。
ただし、20世紀初めのころは反骨精神?あふれる記者たちが世の中への警鐘などともっともらしい理屈をつけて、ウソの記事を新聞にも掲載していたようだ。
いまではとても考えられない。
読み進むと気がつくのだが、ウソの表現方法は確かに高度化しているが、内容に大きな変化はないようだ。冷静に考えればありえないような話でも、テレビでとりあげられたり、だとか「権威ある人が話した」というだけであっさりと人は信じてしまうらしい。
信じないまでも「もしかしたらあるかもね」と思う人は多いだろう。むしろ現代のように「多様な価値観」を重視する風潮にあっては「絶対にありえない」などと主張する方が「あの人は意固地で頑固」などというきめ付けをされかねない。
この本は「ウソのアイデア」を楽しむ本ではない。ウソが人々の間で真実として浸透していく過程には何が起こっているのかを知るための本である。
特にテレビをみてすぐに納豆を買いに行ってしまったような人々には絶対に読んでもらいたいものだ。
もうひとつ紹介したいのがこの「Super journal」である。1992年の発行なので今では手に入らないとは思うが、先ほどのウソの歴史博物館とは違い、「明らかな合成写真」のオンパレードだ。
この内容を信じる人がいたら、みんなで保護してあげないとあっとうまに全財産をむしりとられてしまうだろう。
もともとは「世界各地で発生している独占スクープとして他紙に先駆けて発表しているウィークリィ・ワールド・ニュース」のスクープ写真?を集めたものなのだが、なんというか、アイデア満載の写真に苦笑させられたり、感心させられたりする。(何冊発売されているのか知らない。発売当時に「VOWもびっくり」という言葉にひかれて、2冊目まで買ったが、そこでさすがに飽きてそれ以上探すのをやめてしまった。)
今ではこの手の合成写真はインターネット上にあふれている。各個人が気軽に情報発信できるようになったので、そんなウソ情報が世の中に氾濫しているのだ、とインターネットを悪者にする人も見かけるが、インターネットがあるからウソが生まれるのではなく、ウソがあるからインターネットにまで広まっていく、ということがこれらの本をみていると痛感するのである。
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